【視点】知事と防衛相、隔たり浮き彫り

 両者の会談を見ていて、改めて懸念されるのは知事の安全保障観だ。岩屋氏が「海兵隊の必要な部分については、重要な抑止力として維持しなければならない」と指摘したのに対し、知事は唐突に悪化する日韓関係の話を持ち出した。
 旅行客のキャンセル、韓国プロ野球キャンプの休止などで沖縄に影響が出ている状況を挙げ「国と国が冷静かつ信頼関係を持って、さまざまなことを真摯(しんし)に話し合う状況をつくらないと、さまざまなマイナスの影響が出てくる」と日本政府の外交を批判した。
 岩屋氏は「まったく知事のおっしゃる通り」と応じた。確かに一般論としてはそうだが、ここは知事と防衛相が基地問題を論じている場である。知事は沖縄に抑止力が必要な理由も、日韓関係の悪化も、問題はひとえに日本政府による外交努力の不足だと認識しているのか。このような場で日韓関係の話が出てくること自体、知事の見識を疑わざるを得ない。
 4日には普天間飛行場の負担軽減会議が県庁で開かれたが、政府は同飛行場の新たな運用停止期限を示せなかった。
 県側によると、政府側は辺野古沿岸部で軟弱地盤が見つかり、地盤改良工事が必要なことも新たな運用停止期限を示さない理由に挙げた。しかし政府側は記者団に「軟弱地盤は理由にしていない」と否定した。
 基地負担軽減を話し合う重要な会議ですら、政府と県の言い分がちぐはぐで、両者の意思疎通ができていないことをうかがわせる。一体どうなっているのか。

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