【金波銀波】石垣市の新庁舎を…

 石垣市の新庁舎を現在地で建て替えるか、高台の旧石垣空港跡地に移転するかを問う住民投票は2016年2月だった。投票者の8割が高台移転を選択し、当初、現地建て替えの意向を示していた市政は方針を転換した◆当時は市議会で議員が住民投票条例を発議し、可決を受けて投票実施が決まった。住民投票は直接、有権者の意思を問う重い手続きなのだから、実施に当たっては議会による条例制定という慎重なプロセスが必要だ。議会の議決は、市民の多くも納得した上での住民投票であることを示す「お墨付き」でもある◆しかし石垣島への陸上自衛隊配備の是非を問う住民投票の実施には、懸念の声が続出した。「国防問題を住民投票で問うのはそぐわない」「工事は始まっており、時機を逸している」「住民投票を行うことが住民の分断を加速する」―などだ。議会は2度にわたり、住民投票条例を否決した◆ところが、これだけ百論が噴出しても、有権者の4分の1の署名だけで自動的に住民投票が実施され、誰も止める権能がない。そう解釈されるのが、自治基本条例の規定だ。陸自配備反対派は、これをもとに市を提訴した◆少数意見の尊重か、あるいは少数派の横暴か。自治基本条例の住民投票制度は、どちらにも転ぶ危うさをはらむ。

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