石垣市、竹富町で9月30日夜から10月1日朝にかけて発生した大規模な通信障害で、島々の電話やインターネットが一斉に使用不能になった。市役所、町役場は台風情報の収集に苦慮。市民、町民も情報が遮断される状態に陥った。中山義隆市長は1日、「日ごろ頼りにしている情報伝達システムの脆弱性を痛感」とツイート。台風時に孤立を余儀なくされる離島住民は、今後の危機管理で新たな対応を迫られそうだ。
▽島との連絡取れず
30日午後9時45分ごろ、突如発生した通信障害。復旧する1日午前8時半前後まで約11時間、衛星電話のない島との連絡は全く取れない状態が続いた。
竹富町防災危機管理室(通事太一郎課長)によると、衛星電話は町役場に1台、出張所のある西表島に2台、波照間島に1台が設置されているが、西表の2台は不具合があり、修繕のため竹富町役場に持ち込んでいたため使用できなかった。
専用回線で県と結ぶ防災行政無線が1台あり使用できたものの、通信状況が悪かったため十分な連絡ができなかった。
同課職員は「船も出ず、通信障害の復旧を待つ以外になかった」と振り返る。
通事課長は「通常であれば朝方に出張所や消防団員から被害状況を得る。今回は夜中の段階で積極的に情報を取る手段を持ち得なかった」と振り返った。
竹富町の衛星電話は携帯電波の届かない西表島山間部の連絡のために導入したもので、大規模な通信障害を想定したものではない。
今後の対応について「圧倒的に衛星電話の台数が足りない。膨大にかかる予算の問題は残るが、町独自の通信インフラを抱えていく必要性、どこまで被害を想定するのかという難しさを痛感した」と話した。
町内では台風18号による人的被害はなく、各地で倒木が見られ、西表美原で牛舎半壊の被害があった。