【視点】通信障害11時間 危機管理に教訓

 台風18号の影響で9月30日夜、石垣市、竹富町で電話やインターネットが一斉に使用不能になる通信障害が発生した。
 離島は沖縄本島や本土のように、陸続きで他の自治体へ移動できないため、いったん情報が遮断されれば、深刻な孤立状態に陥る。
 市民生活は日常的に携帯電話やインターネットに依存しているため、経済、福祉、医療などあらゆる分野の機能がマヒしてしまう。離島が文字通りの孤島になる。今回の事態で、便利なネット社会に潜む落とし穴があらわになった。約11時間の出来事だったが、今後の危機管理に大きな課題を残したと言える。
 通信障害の発生は突然だった。9月30日午後9時45分ごろ、八重山日報では、ちょうど記者が電話で台風情報を取材していたが、音声がぷっつり途絶えた。何度掛け直しても通じず、社員全員のスマホの通信状態が同時に「圏外」になった。インターネットも使えなくなった。
 外の天候は台風で大荒れ。簡単に屋外に出ることはできない。外部との連絡をどうするか考えなくてはならなかった。テレビでは継続的に台風情報を報じていた。だが地域によっては停電していた世帯もある。不安な一夜を過ごした住民も多い。
 電話とインターネットが島ぐるみで長時間にわたりシャットダウンする状況は、恐らく初めてではないか。沖縄本島と石垣島間では、行政機関が何とか衛星電話を利用して連絡していたが、市民レベルでは全く情報のやり取りができない。離島の離島である竹富町の島々では、孤立化はいっそう深刻である。

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