【視点】中国建国70年、時代錯誤の大国意識

 防衛省防衛研究所中国研究室の杉浦康之主席研究官によると、パレードで公開された兵器は「東風41」のほか潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪2」、極超音速兵器の搭載が可能とされる次世代弾道ミサイル「東風17」、各国が開発を競う無人機も攻撃型や潜水機など10機近くが登場した。毎年のように異常なペースで進む軍拡の成果である。「日本を含む米国の同盟国に対し、中国の国防力は米国が頼りにならないほどの水準に達しているとのメッセージだろう」と推測する。
 県民が中国の動向に敏感にならざるを得ないのは、単に中国が隣国であるということだけではなく、尖閣諸島を巡り、八重山が直接的に中国軍事力の脅威に直面しているからだ。しかも中国の圧力下にある台湾も目と鼻の先にある。
 沖縄本島は米軍基地問題に関心が集中する傾向があるが、今回の軍事パレードは、八重山にとっても容易ならぬ事態が進行していることを示している。
 中国は体質的に、自分より力の弱い者には高圧的な姿勢で臨む国だ。香港や台湾への態度がそのことを如実に示している。小さな離島に過ぎない沖縄にも、いずれ同様に有無を言わさず接してくる恐れはないのか。尖閣諸島周辺で「パトロール」として称して航行を続け、八重山の漁民の排除を図る中国公船を見ていると、とても懸念は払拭できない。
 来県し、玉城デニー知事と会談した河野太郎防衛相は「北東アジアの安全保障環境がいかに厳しいかを県民や国民に理解いただく努力をもう少し考えないといけない」と語った。
 中国の軍事パレードは、長年、隣国の軍事力に対し、いかに私たちが無関心であったかという反省を迫るものだ。石垣島では陸上自衛隊の配備計画が進んでいるが、八重山を取り巻く安全保障環境を見れば、配備の必要性を改めて痛感する。

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