玉城知事のメッセージを読んで特に感じたが、沖縄の「チムグクル」を訴えれば韓国客が戻るかのような甘い考えは、きっぱり捨てたほうがいい。むしろ、その熱意とエネルギーを、よりリスクの少ない国や地域からの観光客誘致に振り向けるほうが賢明だ。
ところで、沖縄が迎えつつある観光客1千万人時代は「量から質」重視の観光への転換期になり得るという見方がある。クルーズ船で訪れる観光客は、ひとかたまりの集団として多額の買い物をするため経済効果は大きいが、陸上では宿泊しないため、駆け足観光になりがちだ。沖縄に何泊もして、じっくりと自然や文化を楽しんでもらえる観光客の誘致に、さらに力を入れるべき時期が来ている。
欧米や東南アジアといった新たな市場も魅力だが、やはり観光客の大多数を占め、根っからの「沖縄ファン」も多く含まれる国内客を大切にしてほしい。少子化や個人旅行の増加で、国内客に的を絞った誘客は採算的に厳しくなりつつあるかも知れない。だが、ともかくも観光客1千万人時代が目前になったことは、これ以上「数」を躍起になって意識しなくてもいい時代の到来を示しているのではないか。
石垣市で3日から4日間開催された「アイランダーサミット」では、国連が掲げる政策目標「SDGs(エスディジーズ)」もテーマになり、持続可能な観光地を目指す取り組みが話し合われた。
SDGsは今、全国的に注目を集めている概念で、玉城知事も県政運営に反映させる考えを示している。韓国客の急減と合わせて、沖縄観光の在り方を改めて考え直す一つのきっかけにしてほしい。