中小企業の小売店などは5%だが、コンビニや大手のフランチャイズチェーン店では2%となっている仕組みも意味がよく分からない。消費者がポイント還元でどこまで「お得感」を実感できるかも、現時点では不透明である。
立憲民主党の枝野幸男代表は衆院での代表質問で「参加していない中小店が多い。制度そのものに問題がある。そもそも日本経済は消費が全く回復していない。著しく問題だ」と批判した。9カ月間限定の制度だが、時間をかけて効果を見極めなくてはならないだろう。
今回の税率アップで、もう一つの特徴は食品などへの軽減税率導入だ。特に低所得層の家庭では、日常的な消費のほとんどを食品が占める。批判も多かったが、実際に増税がスタートした今、多くの人たちが痛税感を和らげる軽減税率の効果を身をもって体験しているはずだ。
ただ、同じ食品でも税率が持ち帰りなら8%、店内で食べれば10%という仕組みは、混乱を招きやすい。制度の趣旨が国民に浸透しているとは言いかねる。
今回の税率アップに当たり、政府が景気の腰折れや低所得層の生活苦を警戒し、二重三重に手を打っていることは、ひしひしと感じる。
しかし国民にとって古来、増税が最も不評な政策であることに変わりはない。一般論として勤労意欲を削ぎ、貧富の格差を広げ、不公平感を増幅させるデメリットは甚大だ。
安倍晋三首相は8日の衆院本会議で、消費税を巡る今後の対応について「安定的な経済再生と財政健全化に一体的に取り組むことで、今後10年程度は消費税率を引き上げる必要がないのではないか」と述べた。これ以上の増税は断固として避けるべきであり、政権の実力が問われる正念場だ。