【視点】消費増税、キャッシュレス普及の好機に

 1日の消費増税から10日が経過した。現時点では沖縄も含め全国で大きなトラブルはなく、国民は増税を平静に受け止めているようだ。
 今回の税率アップで大きな特徴は、キャッシュレス決済時のポイント還元策が導入されたことである。
 ポイント還元策を巡っては「現金しか使わない高齢者に不親切な制度」などと批判の声も多い。しかしキャッシュレス決済を促進するための政策を、消費増税に合わせてぶつけてきたことに政府の工夫がある。
 ふだんキャッシュレス決済の必要性を感じていない人は、こういう機会でなければ生涯、現金を手放すことはできないかも知れない。「キャッシュレス決済はお得だ」と思わせる動機づけが必要だ。
 これを好機に「現金派」の高齢者も、子どもや孫の助けを借り、思い切ってカードやスマートフォンを使った支払いに挑戦すればいいのではないか。
 高速大容量通信の5G(第5世代移動通信システム)の時代が到来し、家電などあらゆる日用品をスマホで操作する「IoT(モノのインターネット)」が今後、本格的に普及すると見られている。ネット通販や実際の店舗を問わず、決済手段もキャッシュレスが一般的になる流れのはずだ。「不親切だ」などと政府に不満を並べ立てるだけでは、時代に取り残されてしまうだろう。
 しかし、今回のポイント還元策には早くも課題が浮上している。参加を希望するものの登録手続きやキャッシュレス端末の到着が遅れている店舗も多い。決済事業者の入力ミスから本来5%の還元率が2%になる事例があるなどのトラブルも報告されている。対象店を検索できるスマホのアプリに不備があったことも判明し、経産省は今月中に改善する考えだ。準備不足は明らかだ。

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