八重山への国立自然史博物館の誘致に向けた推進委員会(会長・中山義隆市長)主催の第5回「八重山に国立自然史博物館をつくろう!」小中高校生研究発表会・講演会が27日午後、石垣市健康福祉センター検診ホールで開催された。50人以上が来場し、八重山の魅力を守ろうと訴え、誘致への機運を高めた。
発表会では口頭発表とポスター発表があった。このうち、キバウミニナ研究を5年ほど続けている田渕鈴夏さん(八重高2年)は追跡調査と広域分布調査を実施し、「アクティブに動きはするが、ある範囲を超えずに行き来する場合が多い」「マングローブがあり、底質が泥質の地点でのみ生息でき、名蔵湾に分布を広げている」などの成果を発表した。
八重高・八重農合同チームは、ゲーム性を取り入れた市内3校合同ビーチックリーンと、プラスチックごみを活用した製品作りを提案。今後はクラウドファンディングで資金を集めて機材を導入し、来年3月を目標に「廃プラ製サバニ」を作る予定とした。
ほかに▽「名蔵アンパルに関する環境学習」(名蔵中)▽「絶滅危惧種の保全を目指して」(八重農)―の口頭発表があった。
講演会では琉球大学理学部海洋自然科学科の伊澤雅子教授が「島の生物学 島を渡った動物、島に残った動物」と題して、琉球諸島の生物分布や特徴を紹介。
「琉球諸島は世界で数か所しかない湿潤亜熱帯気候の一つで、分断・陸橋によって複雑な地史を持つ」として、▽種の多様性が高い▽固有の生き物が多い▽絶滅危惧種の割合が高い―ことを指摘した。
その上で「大事なことは知る・守る・賢く活用すること」と強調し、「戦争で多くの標本が焼けたが、今度こそ残したい。自然史博物館では標本管理や自然史研究を行い、国内外の自然史系博物館などの施設と連携して、世界を牽(けん)引するべき」と力を込めた。
参加した15の個人・団体、計35人に奨励賞が、バンナ公園世界の昆虫館などの協力団体に感謝状が贈られた。