陸上自衛隊の西部方面総監などを歴任した元陸将、用田和仁氏が29日、「石垣島への陸上自衛隊配備の必要性」をテーマに市健康福祉センターで講演した。石垣島に配備される陸自部隊は「海、空の部隊のように島嶼(とうしょ)を離れることはなく、最後まで守り切る。島から動かぬ抑止のかなめで、令和の防人(さきもり)だ」と強調。日本に迫る中国の脅威と、鎌倉時代に襲来した元を重ね合わせ「中国に対する敗北主義と融和政策を捨て、国土防衛と自由のために、敢然と戦うことが日本に求められている。現代の『元寇』を打ち砕かなくてはならない」と訴えた。
中国が尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返し、同諸島奪取を目指す意図について「尖閣は東シナ海の大陸棚の突端。これを取ったら東シナ海全域は領海だ」と述べた。「南西諸島の防衛は日本にとって死活的に重要な作戦。昔は離島の作戦と言っていたが、離島ではない。日本防衛の作戦だ」と離島防衛の戦略的重要性を説いた。
自衛隊が石垣島に配備されれば戦争に巻き込まれるという主張に対し「中国には熱烈なる(侵略の)意思があり、そしてわが国の防衛がある。その順番を間違えてもらっては困る」と反論。配備される隊員は「家族を含めて千人が居住する。運命共同体として、島とともに生きる証(あか)しだ。若い力を島のために活用してほしい」と期待した。
米国は「残酷な全体主義の支配を許さない」とのスタンスで中国と徹底的に対決するとの見通しを示し「米中覇権国家間の対決はもう止められない」と断言。米中対立が深まる中「日本は『竜』と『虎』の間に挟まれている。米国とともに自由を守る壁となるか、中国のための抑圧の壁になるか選ぶ時だ」と迫った。
講演会は八重山防衛協会(三木巌会長)が主催した。