竹富町西表島最大の伝統行事で、国指定重要無形民俗文化財「西表島の節祭(しち)」の奉納芸能「世乞い(ユークイ)」が30日、祖納、干立の両集落で行われた。ミリク行列や黒布で全身を覆ったフダチミ、こっけいなしぐさで笑いを誘ったオホホなどの奉納を、地元住民や郷友会、観光客らが楽しみ、挙って今年の豊作への感謝と来年の豊饒(ほうじょう)、人々の平安を祈願した。
季節の折り目、年の折り目を表す節祭は500年以上の歴史があるとされる。干立公民館(飯田晋平館長)は前の浜と干立御嶽で、祖納公民館(那良伊孫一館長)は前泊浜で、神を迎えるための船漕ぎやヤフヌティ(櫂踊)、棒術、獅子舞、ミリク行列、アンガー踊りなどを奉納した。
干立御嶽ではミリク行列の際、人の心はお金では買えないことを表現したとされる干立独自のオホホが登場。
オホホは、「オーホホホホホホ」と繰り返し奇声を発しながら、札束をばらまいたり、来場者らに手招きしたりして、境内を闊歩(かっぽ)した。
前泊浜ではミリク行列の後、フダチミと称する2人を先頭に、黒の上衣に水色の鉢巻をした女性たちが優雅に「節(しち)アンガー」を行なった。
初めて八重山を訪れた木元秀美さん(35)=埼玉県=は「棒術がこんなにも迫力があることにびっくりした」と驚き、「雨でダイビングができなかったのでたまたま見に来こられた。来てみてよかった」と笑顔を見せた。