石垣島への陸上自衛隊配備計画で、隊員の宿舎建設候補地となっている市有地3筆の情報を市が開示せず、沖縄防衛局が宿舎への不法侵入や破壊行為などの犯罪を招く恐れを理由に挙げている。9日の市議会一般質問では与野党から反発の声が上がり、中山義隆市長は「市民が犯罪を起こすと防衛省が発言したわけではない」と防衛局の対応に理解を求めた。過去、他の自治体で隊員の官舎に破壊行為があった事例を踏まえた対応との認識も示した。
陸自配備反対派の市民が宿舎の建設候補地について情報公開を請求したが、市は防衛局に意見を照会した結果、9月、具体的な住所に関する情報を不開示とした。
与党の仲間均氏は「防衛省が危険と判断すれば警備員を置けばいい。事件を起こすのは、ほとんど活動家。多くの市民に間違ったメッセージを送る」と批判した。
野党の長浜信夫氏も「市民をばかにするような感じを受けた。隊員の宿舎を隠密化して生活できるという認識なのか」と疑問視した。
知念永一郎総務部長は「過去に官舎を標的とした放火、爆発物などの犯罪が発生している」と答弁。中山市長は「防衛省から市有地の買い取り、賃貸などの要請は上がっていないが、届け出があれば情報開示の対象にしてもいい」との考えを示した。
その上で「防衛省からも不開示にしてほしいという要請が来ている。市と国の信頼関係の中で不開示にしている」と述べた。
陸自配備問題を巡っては、長浜氏、野党の花谷史郎氏が、石垣島駐屯地で米軍との共同訓練が行われる可能性を懸念した。
中山市長は「駐屯地ができる、できないにかかわらず、米軍は日米安保条約で、日本の空港港湾を使用できる」と指摘。「米軍との共同使用を前提に、配備に理解を示しているわけではない」と強調した。
長浜氏は「訓練に米軍が帯同付随してくることがある。自衛隊の陰には米軍ありだ」、花谷氏は「米軍の使用の頻度が高まる」と非難した。