【視点】下地氏の維新除名と保守中道の危機

 玉城知事は工事反対の姿勢を崩していないが、実際に工事を止める手段はほぼ尽きようとしている。埋め立て海域の軟弱地盤や工期、総事業費の増大に懸念を示しているが、それは工事の技術的な問題だ。仮に国の設計変更申請を不許可にしても、国が裁判に訴えれば、見通しは厳しい。何より宜野湾市民が置き去りの状況が続く。
 国との関係は冷え切ったままで、20年度も一括交付金が過去最低水準に削減されるなど、対立は沖縄振興予算にも影を落としている。沖縄振興予算の3千億円台が維持されるのは21年度までとされており、22年度以降は一括交付金の存続すら危ぶまれる状況だ。
 翁長・玉城県政の「オール沖縄」路線は、実際には袋小路に入りつつある。経済こそ好調な観光に助けられているが、政治的には沖縄と本土の分断傾向が強まるばかりで「沖縄は(進歩ではなく)退行に入り始めたのでは」という仲井真氏の懸念もゆえなしとしない。
 県政だけでなく県議会も与党多数、国政選挙でも県選出のほとんどが知事を支える国会議員という現状では、「オール沖縄」勢力に対する歯止めが全くきかない。
 国政の「安倍一強」を批判するなら、沖縄の政治状況はそれを上回る不健全さではないか。保守中道を名乗る政治家には、自らの非力が沖縄の政治を劣化させているという現状認識と問題意識を持ってほしい。

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