【金波銀波】八重山から能登は遠く…

 八重山から能登は遠く、なじみは薄いかもしれない。それでも孤立状態のなかで寒さに震えている被災者を思うと、支援の輪を少しでも広げたいので、被災地がイメージできるよう若干書いておきたい▼能登半島は北陸地方の中央部から日本海へ北に突き出ている。富山湾に沿って進むと半島の中ほどに七尾市。和倉温泉で知られる温泉街だ。年配の方ならご存知だろう横綱輪島の出身地である。さらに北へ行くと穴水町。そして半島の先端が珠洲市▼12日午前の段階で死者は災害関連死を含め215人。このうち半数近い98人が珠洲市で亡くなった。先端を回り込んで進むと輪島市へ出る。朝市が有名だが、壊滅状態という。ここでは83人の命が失われた▼不自由な避難生活に追い打ちをかけるのが寒波だ。「耐えられないほど寒い」「もう限界」。被災者から漏れる悲鳴に、なす術がない。雪とともに暮らしてきたのに、「これ以上は防寒方法が思いつかない」という高齢者の声には胸が締め付けられる。声を発しているのは、筆者にとって40年ほど前の同じ時代に同じ地域で笑ったり、落ち込んだりしていた人たちだ。雪の中で転んでばかりでずぶ濡れになっていた自分に雪道の歩き方を教えてくれた同級生や先輩たちかもしれない▼石垣島に来る前に、バイクで能登半島を一周し懐かしい町の息遣いに触れてきた。今の自分にできることは、少しばかりの寄付だけだが、どうか遠く離れた八重山からも、北陸に比べ暖かい空気をおすそ分けするような気持ちがじわりと広がっていくよう、願っている。

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