【視点】閣僚の育休 別の議論が必要

 大阪市の松井一郎市長は「国の大臣として一石を投じるのは認めるが、投げ込む石が小さい。もっと大きな石を投げこんでほしい」「大臣を辞めて『1年間ぐらい無給で育児をやります』と言ったほうが雰囲気を変えられるのでは」などと提言した。
 中小零細企業は人手不足や経営危機に悩まされ、とても男性が育休を取得する雰囲気ではない。小泉氏はもとより、大企業や役所の男性職員の育休取得は、まるで特権階級のように見え、冷たい視線が向けられがちなのも事実だ。育休を取りたくても取れない人たちの反感だけが募るようであれば、かえって育休取得の流れに水を差しかねない。
 男性の育休取得に対する偏見を打破することも必要だが、育休取得を不可能にしている中小零細企業の人手不足や、経営危機の対策に手を付けることが急務である。大臣とはまさに、国政でそのような仕事を求められるポストだ。自らが率先して育休を取得することは、少し趣旨が違うのではないか。
 閣僚の育休取得は別の議論が必要だ。だが男性の育休取得そのものは広く普及させる必要があり、そうでなければ真の意味での男女共同参画社会も、少子化の阻止も覚束ない。
 仕事を休み、家庭で子どもを育てることは個人的な道楽ではなく、両親の愛情に包まれた健全な子どもを増やし、誰もが安心して暮らせる国造りを進める社会的貢献でもある。育休の普及と併せ、家庭教育の重要さも見直したい。

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