群馬・山本一太知事の決断は早かった。昨年9月、他県で豚コレラ発生が相次いだ事態を受け、感染した野生イノシシの侵入柵設置など、感染防止対策を盛り込んだ4億円余の補正予算を計上。「危機感がある」と述べ、議会の議決が不要な専決処分で緊急的に成立させた◆10月、県内で実際に野生イノシシの感染が確認されると、ただちに県内約60万頭の飼育豚を対象とするワクチン接種を開始。先手を打った封じ込め対策が奏功し、群馬では飼育豚に感染は広がっていない◆対照的に、県の豚コレラ対策が見えてこないのが沖縄だ。飼養豚の感染が確認されて1週間以上経ってもワクチン接種を決断できず、なんと来週の会議で接種の是非を検討するという。心配されている固有種「アグー」への感染防止に向けた離島への隔離も、会議での検討結果を待つという有様だ◆玉城デニー知事は「迅速に対応する」と強調するが、来週の会議を前に「ウイルスが土日休みを取るのか」と感染拡大を懸念する声が上がる◆ワクチン接種で豚肉の輸出が困難になったり、農家の衛生管理に油断が生じるデメリットは、既に指摘されていることだ。だからこそリーダーには、遅々としたお役所仕事を打破する「迅速」な決断が求められているのではないか。