「『琉球古典芸能~能楽』八重山に集う~比嘉聰・大倉源次郎 人間国宝認定記念公演~」(主催・同実行委員会)が17日夜、石垣市民会館大ホールで開催された。市民ら約300人が来場し、人間国宝による打楽器の「和(鼓)」と「琉(太鼓)」の競演に聞き入った。
公演では大倉氏が連調・東北「軒端の梅」と一調一声・三井寺の小鼓を、比嘉氏が組踊「執心鐘入」(抜粋)の太鼓を奏でたほか、八重山舞踊や石垣市登野城に400年にわたって伝わる「大胴・小胴・太鼓」などが披露された。
開演前のあいさつで大倉氏は「日本という国は言霊の幸(さきわ)う国。令和の出典・万葉集以来、少なくとも1300年以上、和歌・詩歌の伝統が脈々とあり、宮中での歌会始にもつながる。こんな国は世界にはない」と強調。
組踊の歴史について、「組踊を創作した玉城朝薫は子どもの時から謡曲を嗜んでおり日本語が堪能だった。江戸幕府は武士で守り、芸能で豊かになった。朝薫は薩摩や江戸など訪れる先々で能楽などに触れ、琉球に持ち帰り、組踊と空手が士族の嗜みになったと伺っている」と紹介した。
2017年、大倉氏は沖縄と縁の深い「能囃子方小鼓」、比嘉氏は沖縄の伝統芸能「組踊音楽太鼓」でそれぞれ国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されている。
18日には、大倉・琉球華月会による能楽小鼓発表会と能楽ワークショップが舟蔵の里で行われた。