【視点】高まる感染リスクに備えを

 こうした中、WHО(世界保健機構)のテドロス事務局長は4日、中国への渡航歴のある人への入国拒否について「公衆衛生上の意味はあまりなく、不安や悪いイメージを助長する恐れがある」と各国に自重を求めた。
 WHОの主張に従えば、各国は手をこまねいて感染者の増加を見ているほかなくなる。現に日本に寄港したクルーズ船から続々と感染者が確認されている状況をどうすればいいのか。WHОは、自ら信頼を失墜させる言動が続いている。
 国、県、市町村は連携体制を強化し、患者発生を想定した対応を準備しなくてはならない。石垣市の場合、患者が確認されれば市消防が県立八重山病院に搬送することが確認されているが、救急隊員や一般住民への感染防止対策は万全なのか、チェックが必要だ。
 沖縄では1月末の時点で中国客のキャンセルが1万人を超えていたが、那覇と中国本土を結ぶ直行便は10往復が運休し、観光産業への打撃は避けられない状況だ。県としてこの事態をどう乗り切るのか、侵入防止対策とは別に戦略を立てて取り組まなくてはならない。
 石垣市の行政区域である尖閣諸島の周辺では、5日も中国公船4隻が領海に侵入した。今年で3日目である。
 本国が新型肺炎の蔓延(まんえん)で非常事態にあるにもかかわらず、他国への挑発行為を止めようとしないのは、領土に対する驚くべき貪欲(どんよく)さの表れだ。他国の領土を何としても奪取するという一点にこだわり、国家としての思考が硬直化、固定化していると言い換えたほうがいいのかも知れない。
 中国政府の発表では国内の感染者は約2万4千人、死者は約490人に達したが、このような異常国家の発表をうのみにできるのか。
 実態はさらに深刻である可能性を覚悟しなくてはならない。

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