新型肺炎 外国客姿消す 国内ツアーも減少傾向に 八重山

炎天下でタクシー待ちするクルーズ船の乗客たち=2014年7月、石垣港

 中国を中心に新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大している問題で、八重山では今月に入り、外国客が姿を消し始めた。クルーズ船の石垣寄港は3月までに14回のキャンセルが決まり、外国客は2万人以上の減少になったと見られる。空路の香港エクスプレスも、3月3日までの運休が決まっている。石垣市観光交流協会によると、ホテルは欧米客の予約も減少しているという。国内の団体旅行も減少傾向にあり、同協会などは今後の影響を注視している。
 同協会がクルーズ船乗客を受け入れている複数の観光施設にヒアリングしたところ、クルーズ船の寄港が途絶えた4日以降、外国客はほとんどいない状況になった。乗客の昼食約80食の予約が入っていた施設では、当日になってすべてキャンセルになった事例もあった。

 これらの施設では、旅行会社が主催する国内の団体旅行も減少傾向にあり、特に高齢者のキャンセルが多いという。新型肺炎は高齢者に重症化の事例が多いとされ、警戒感が広がっているようだ。
 ホテルはクルーズ船乗客が宿泊しないため、寄港中止による直接的な影響はないものの、国内の団体旅行キャンセルが続発している。欧米からの観光客の予約も4月以降は減少傾向にあるという。
 クルーズ船乗客を送迎するバス、タクシー会社も外国客の需要が減り、売り上げに影響が出ている。
 市観光課によると、クルーズ船は2月は2回の寄港があっただけで、4日以降は残り9回の寄港予定すべてがキャンセルされた。3月は25回の寄港予定があったが、うち5回が既にキャンセルになっている。
 現時点で予約が残っているクルーズ船の寄港や香港エクスプレスの運航も、3月以降、実現するかは不透明な状況と見られる。
 一方、国内の個人客に関しては堅調に推移しており、現時点で影響はほとんど見られない。ただ同協会には「石垣島には中国人は多いのか」という問い合わせの電話が4~5件あった。
 一部の観光施設では、本土の学校から「海外への修学旅行を予定していたが、石垣島に振り替えられないか」という問い合わせがあったという。
 同協会の西仲野正巳事務局長は「これまでのクルーズ船のキャンセルで、昨年に比べ2万人以上の入域観光客が減少している。国内客は国内線の増便で増加を見込んでおり、個人客への影響は少ないが、団体旅行が自粛ムードになっていることが懸念材料」と話した。
 県八重山事務所によると、2019年の入域観光客数は過去最高の148万2153人、うち海外路線は41万97人で、約28%を占める。クルーズ船の石垣寄港増や空路の香港路線増便が入域観光客数の底上げに貢献した。

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