自衛隊石垣出張所(石垣市)を今月で離任する反橋寛之所長(33)が16日、あいさつで訪れた八重山日報社で取材に応じ、陸上自衛隊駐屯地用地として市有地を国に売却する議案が2日の市議会で可決されたことについて「用地取得にめどが立って駐屯地配備計画が前進し、ほっとしている」と述べた。
可決とはいえ、賛成11、反対9、棄権1の僅差だったことには「広報活動を通じて1人でも多くの市民の理解を得られるよう努める」と語った。
反対理由として「駐屯地ができれば敵に狙われる」「自然に影響が出る」と指摘されているとには「戦争を望まないのはわれわれも同じ。駐屯地を構えることで相手に攻める気をなくさせる抑止力を強める」「各地の駐屯地を見に来てほしい。どこも環境基準に従って適正に運営していることを分かってもらえるはずだ」と話した。
石垣島への自衛隊配備の必要性については「中国公船が日々尖閣諸島の接続水域に侵入し、漁船に乗り込んだ民兵と思われる者が機雷を投下する訓練をしていると見受けられる。尖閣がいつ不法占拠されてもおかしくない状況だ。石垣島に部隊を置いて抑止力を高める必要がある」と述べた。
災害対応拠点としても期待されることには「人命救助では最初の72時間が生死を分けると言われる。当地に部隊があれば迅速に対応でき、救助につなげられる」と語った。
石垣島への赴任は2年間。「昨年の駐屯地の(民有地部分での)着工、今回の議案可決と大きな節目を見届けられ、得難い経験になった」と話す。「プライベートでも次女が在任中に生まれた。海も山も近くて街も発展し、子育てには最高の環境だった」と頬(ほほ)を緩めた。