翁長雄志知事の死去に伴う9月30日の知事選で初当選した前衆院議員玉城デニー氏は1日、争点となった米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り国と協議する必要性を指摘した。沖縄市の自宅で記者団に「辺野古の今後について、国とまずは協議したいと伝えたい」と述べた。
国との関係について玉城氏は「はなから対立や分断の立場を取るつもりはない」とした上で「協議の中で検討できるものがあれば、忌憚(きたん)なく意見交換する」と表明した。
選挙結果には「今回の選挙の争点であったことは間違いない。県民の意識は、翁長氏が命を懸けてでも守ろうとした辺野古に新基地を造らせないとの遺志を、継いでほしいということではないか」と言及し、阻止する考えを重ねて示した。
在日米軍専用施設の7割が沖縄に集中している現状については「異常だ」と批判した上で「新基地は認めず、一日も早い普天間飛行場の閉鎖、返還を米国にも求めたい」と強調した。39万6632票の過去最多票を得たことには「県民の喪失感と、翁長氏の気持ちを無駄にしてほしくないという思いが票につながった」と指摘した。
妻の智恵子さん(59)からは当選後、「ここからが本当の始まりだね」と声をかけられたという。この日はあいさつ回りをこなし「あすからは県政運営へ自分の気持ちをシフトアップしていく」と強調。4日に知事に就任する。
玉城氏は辺野古反対を主張し続け8月に急逝した翁長氏の後継候補。選挙戦では県による辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回や県議会が審議中の辺野古移設の是非を問う県民投票条例の制定を支持していた。
移設を巡っては、2013年に当時の仲井真弘多知事が埋め立てを承認。政府は昨年4月に護岸造成に着手し、その後、今年8月17日以降の土砂投入を通知した。翁長氏の急死後の同31日、県が違法工事を理由に承認を撤回したため、工事は法的な根拠を失い、中断している。