【視点】危機意識持たなければ侵入防げず

 新型コロナウイルスが大騒動になって以来、感染地である中国から沖縄本島や八重山へのクルーズ船は途絶えた。国内客も減少傾向にある。本土と海を隔てている沖縄では、その分、ウイルスの侵入リスクが低下したということもかもしれない。大都市ほどの人口密度がないことも大きいだろう。平均気温が高いこともウイルスの繁殖を阻んでいるのかも知れないが、それは憶測の域を出ない。
 だが今回感染が確認された女性や、那覇市の男性は、県民が県外や国外で感染後、沖縄に戻ったと見られるケースである。クルーズ船が発生源と思われる従来の感染とは状況が異なる。パンデミック(世界的大流行)が起き、国内でも感染拡大が終息していないこの時期、安易な旅行や出張が思わぬ結果を招きかねないことを示しており、個人にせよ事業所にせよ、不要不急の移動は控える意識を持つ必要がある。
 世界の感染者数は30万人を超えた。中国の約8万人を筆頭に、イタリア約5万人、スペイン、米国、ドイツ、イラン約2万人などと続いている、イタリアでは医療が崩壊状態に陥り、死者数の激増で火葬が追い付かなくなっている自治体も出ているほどだ。先進地で医療崩壊が現実化していることは深刻に受け止めなくてはならず、重症化や死亡事例も決して少ないとは言えない。
 欧米に比べると、日本で確認された感染者数は少ない。だが感染者数は毎日、数十人単位で増え続け、国内での確認例は千人を超えてクルーズ船乗船者を上回った。合計の感染者数が2千人を上回るのも時間の問題である。
 安堵感にひたってしまうのはまだ早い。現在の暮らしを守るためにも、感染防止に向けた県民一人ひとりの意識が最後の砦(とりで)となる。

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