白保集落北側でリゾートホテルの建設が計画されていることに関連し、同計画に反対する白保住民7人は20日、建築工事の差し止めを求める民事訴訟を那覇地裁石垣支部に提起した。迎里和八白保公民館長は「何も聞いていなかった。村を二分することになる。同調はできない」と述べ、公民館として訴訟に協力しない考えを示した。
ホテル建設は、市内新川に本社を置く㈱石垣島白保ホテル&リゾーツが計画。4階建て165室の本棟と、平屋のヴィラ棟9棟を建設し、年間10万人の宿泊を予定している。
反対する住民らは、建設による自然破壊と排水による白保海岸の水質悪化を問題視しており、2017年11月の同公民館臨時総会では、ほぼ全ての参加者により計画への「不同意」が決議された。
提訴したのは、漁業、マリンレジャー業を営む新里昌央代表ら7人。全員が白保地区住民だが「個人としての提訴であり、特定団体の意志によるものではない」(新里代表)という。
新里代表は「相手は白保の自然を何も理解していない。自然は後からでは取り戻すことができず、守らなければ自らの生活が脅かされる」と訴えた。
訴訟代理人には沖縄合同法律事務所の喜多自然弁護士、赤嶺朝子弁護士らが就任。建設差し止めだけを求め、県に開発許可の取り消しを求めないことについて、赤嶺弁護士は「計画されている浄化槽は基準に沿っており、県に取り消しを求めることは困難と判断した。生活への影響面で争っていきたい」と話した。
提訴について、白保公民館の迎里館長は「彼ら(提訴に関わった人たち)はとうとう、白保村を二分する行動に出てしまった。私が一番恐れていたことだ。総会参加者のほぼ総意で『不同意』が議決されたことは事実だが、総会には600世帯中百数十世帯しか参加しておらず、村を出ていった郷友らの意見も聞く必要がある。その全てが不同意だとは考えられず、現段階では彼らの活動に同調することはできない。国と国の認可を受けた施設との間に、公民館が入る余地はない」と述べ、公民館として訴訟に協力しない考えを示した。