【視点】非常時こそきめ細やかな支援を

 ドイツ政府は、文化産業に携わるフリーランスや小規模事業者に50億ユーロ(約5980億円)の財政支援を表明し、英国でも公的支援団体アーツカウンシルが芸術家や劇場への資金注入を進めている。フランスにはアンテルミタンという芸術家のための失業保険制度がある。
 諸外国に比べ、日本は非常時にアーティストを守る制度が万全とは言えず、早急な支援策の検討が必要だ。
 政府は保護者への休業補償制度の対象に、正規や非正規の労働者だけでなく、初めてフリーランスも加えた。子どもの世話で仕事ができなかった場合に日額4100円を給付する制度を設け、申請の受け付けを始めた。こうした取り組みは評価できる。
 ただ、風俗業界で働く女性らは補償制度の対象から除外され「職業差別ではないか」と疑問の声が上がっている。こうした女性たちにはシングルマザーも多い。借金などの個人的事情を抱えているケースも目立ち、生活困窮の恐れがいっそう強まるからだ。
 厚労省の担当者は、風俗事業者が雇用助成から外れていることを理由に挙げ「暴力団とつながりがあったり、違法状態で営業したりする店に助成することが過去に問題となった。業務委託を受けて働く人は個人事業主であり、事業者と同じ立場」としている。
 だが、非常時に政府が職業で支援を線引きをする姿勢はいかがなものか。政府は6日、休業補償の対象を改めて見直す方針を示したが、こんな時だからこそ、社会の隅々まできめ細やかに光を当て、国民を守る姿勢を示してほしい。

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