新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げの落ちた中小事業者向けの国、県の融資制度への申し込みが窓口の市商工会に殺到している。商工会は「地元事業者の受けた経営的な打撃の深刻さの表れ」と受け止めている。
商工会によると、中小企業を対象にした県の融資制度「セーフティネット資金」の適用対象に「コロナウイルスによる売り上げ減」の含まれた2月以降、市内の事業者から商工会への融資申し込みが相次いだ。
商工会は制度の要件を満たすかどうか審査し、現時点で63件を認定して金融機関に融資依頼した。国の制度は3月に始まり、商工会は63件とは別に70件の申し込みについて窓口の沖縄振興開発金融公庫八重山支店の審査を受けるよう促した。
県制度での融資希望額は計11億5600万円で1事業者の平均は1835万円。申し込み全体の4割を超す27件が貸付限度額に当たる3000万円の融資認定を受けている。
商工会の話では、申し込み者は宿泊、飲食業など観光関連業者が多い。宿泊業が深刻でゲストハウスなど小規模の宿泊施設は宿泊者がほぼゼロで経営的に窮迫しているという。
県制度は貸付期間が運転資金なら7年間で最初の1年間は元本の返済が猶予される。利率は0.9%と低く抑えている。
主な国制度は貸付限度額が6000万円で県制度より枠が大きい。直近1カ月の売り上げが前年同月か前々年同月より5%以上減った事業者が対象になる。貸付期間は運転資金なら15年で5年以内なら元本返済が猶予される。利率は最初の3年間は基準金利から0.9%を低減する。
制度は基本的に国、県のどちらかを選ぶ。
商工会の前川義統事務局長は「申し込みの多さから地元事業者の窮状がうかがえる。制度を生かして乗り切ってほしい」と話している。