江戸時代、疫病から人々を守るとされた妖怪「アマビエ」―。中国武漢を発生源とする新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、SNS上ではコロナ終息を願って自作の「アマビエ画」の投稿が相次ぎ、厚生労働省が若者向けの啓発キャラクターに起用するなど、話題となっている。ここ八重山でも、石垣市登野城在住の永山律雄さん(46)=猟師=が、独自の画風でアマビエの絵はがきを作製し、知人や飲食店などに配布することでコロナ終息への願いを行動に移している。
アマビエが話題になっていることを知った永山さんは「八重山にアマビエがいたら」をテーマに作画を開始。
5日間試行錯誤を重ね、身体と口はブダイ、髪はタコ、目の周りはナポレオンフィッシュ、腕の毛はクジャク、しりびれの柄はオオゴマダラをイメージし、頭は白くして「海中で光る」という伝承に倣った。
原画完成後、自作のアマビエ画をはがきに印刷して知人や飲食店・土産店を訪ね、16日までに20枚ほど配ったという。今後は別アングルでも作画し、配布していく考え。
永山さんは25歳の頃、タイで「マンダラ風世界地図」を描いたのをきっかけに絵を始めた。35歳で石垣島に移住し、東日本大震災の際には八重山の生き物を描いては本土の知人へ贈り、「この絵に価値を感じたら、料金の代わりに復興へ募金を」と呼び掛けたという。
新型コロナ感染拡大について、「塞ぎ込んでしまいがちなこの時期、絵を見て少しほっこりしてもらえれば。自分で描いてみて気分転換するのも良いかも」と笑顔を見せ、コロナ終息を願った。
*アマビエ
江戸時代の弘化3(1846)年に肥後国(現・熊本県)の海から姿を現し、疫病が流行した際にはその姿を描き人々に見せるよう告げたと伝えられる妖怪。当時の新聞である瓦版には、ウロコに覆われた体に3本の足とクチバシのような口を有した姿が描かれている。