■来島自粛は継続を
中山市長は、11日時点でも観光客向けの本格的な営業再開は厳しいとの認識だが、市民向けに営業する事業所なら再開は可能とする考えだ。観光客も、感染拡大のリスクが比較的低い長期滞在者なら受け入れ可能ではないかと指摘する。
中山市長の発言に対し、市内の50代の観光業男性は「経済活動再開には賛成だが、本土で感染者が出ていることが気になる。観光客の来島自粛要請は継続したほうがいい」と指摘する。
飲食業を営む30代の男性は、11日というタイミングについて「自粛解除は、島外からの観光客の受け入れ方針や、島民へのサポートなど、多くの政策と絡まり合うもの。情報が不足していて肯定も否定もできない」と困惑。
その上で「営業自粛が解除されたから、完全な日常に戻ってオッケーではない。正しい基準を持って責任感のある判断をすることが大事。周囲を見ると、個人的にはかなり楽観的な人が多いようで正直不安に感じる」と強調した。
■全国では議論活発化
全国的にも、出口戦略に関する議論は高まりを見せている。大阪府の吉村洋文知事は1日、民間事業者に出している休業要請を解除するための独自の指針を策定する考えを明らかにした。医療機関の集中治療室(ICU)や中等症患者用のベッドの占有率が一定水準を下回れば、段階的に解除する計画を示し「大阪モデルとして(自粛を脱するための)出口戦略をつくる」と述べた。
2日には「緊急事態宣言の延長は出口戦略とセット。経済を完全に死なせたら命を落とす人もいる。コロナと共存するために(医療崩壊の)危険を察知する信号を指標化したい」と強調した。
大阪市の松井一郎市長は「府内でも経済への打撃は計り知れない。国との協議で、大阪はこういう状態なのでビジネスを再開したいと言えるようなものを作りたい」と話した。
安倍晋三首相は4月日、欧州連合(EU)が外出禁止などを緩和する出口戦略の指針を作成したことに触れ「海外の考え方も参考に専門家と相談したい」とした。