石垣市の中山義隆市長は18日の市議会一般質問で、尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を提出した理由を「単に行政事務の効率化、改善を目指すために提出している」と説明した。野党の内原英聡氏が「字名変更は諸外国への牽(けん)制という意見がある」と質問したことに対する答弁。市長は「もともと字登野城の番地がついている場所の字名を変更する。字名がついていない場所に、新たに字名をつけたりするわけではない」とも述べ、他国を牽制する意図を否定した。
市は2017年、部課長級職員でつくる字名変更検討委員会(委員長・知念永一郎総務部長)で字名変更を審議した。一般質問で内原氏は、市から入手した会議録をもとに、検討委が変更後の字名を全会一致で「尖閣」と決めていたと指摘した。
知念部長は、有識者から変更後の字名を「登野城尖閣」とするよう求める意見があったと報告。中山市長は、尖閣諸島が歴史的に「登野城」とされてきたことを挙げ「総合的に判断しないといけない。歴史的な経緯も残すべきだ」と述べ、自らの判断で変更後の字名を「登野城尖閣」に決定したことを明らかにした。
内原氏は「驚いた。行政のプロが字名を『尖閣』とすることを全会一致で決めたのに、それでも市長の判断で決めたのか」と追及。「今の時点で字名変更をする必要はない」と批判した。
中山市長は「内原議員の主張は全く意味が分からない。自分が反対するための理由を市民に説明するために、しゃべっている感じがする」と反論した。
字名変更検討委の会議録によると、委員からは、登野城住民や尖閣列島戦時遭難者遺族会からの意見聴取を提案する声もあった。
知念部長は、字名変更の直接的な関係者は尖閣諸島を本籍地とする人と、久場島を所有し、固定資産税の納税義務者である民間人だけだとした上で「(字名変更によって)関係者が行う手続きはない」と、意見聴取しなかった理由を説明した。
内原氏は、字名変更に対し、台湾から反発の声が出ていることを念頭に「一方的に他者の反応をかえりみない行動は相互不信を高めるだけだ。市民の生命や財産を本気で守るなら、いさかいの火種を持ち込ませない意思が必要ではないか」と訴えた。