2013年、尖閣諸島(石垣市)周辺海域に「漁業見習い」として出漁し、周辺海域の現状を確認した東京都狛江市の辻村ともこ市議(47)。「女性議員こそ領土を守る先頭に立つべき」と訴える。辻村氏に7年前の経験を語ってもらった。
私の祖父はシベリアに強制抑留された経験がある。家庭の中で「領土が奪われると、一番酷い目に遭うのは女性と子どもだ」と言っていた。領土はどうしても守らなくてはならない。
わが国固有の領土である尖閣諸島周辺海域で、中国公船が100日以上も機関砲を載せたり、漁船を追尾したりしている。政府は「遺憾だ」と言うだけ、このままでは領土を奪われてしまうという強い危機感を持っている。何か自分にできることはないかと思ってきた。
私は2013年度に公益社団法人日本青年会議所の領土領海委員長の副委員長を務めており、子ども向けの領土教育の教材をつくったことがある。小、中学校で実際に教材を使った授業を行ったが、子どもたちから「尖閣諸島ってどういうところ?」と素朴な質問を受けた。
だが、尖閣諸島の実態を見た人がほとんどいないため、質問に答えることができなかった。
私は「これではいけない」と思い、ちょうどそのころにあった民間団体の企画で、漁業見習いとして漁船に乗り、尖閣諸島周辺に行った。
尖閣諸島周辺海域には中国公船が現れ、私たちの乗った漁船を追尾した。大変恐い思いをした。
私たちを守ってくれたのが、海上保安庁の巡視船だ。漁船には巡視船から連絡があり「逃げてください」と何度も言われた。
でも、ここは日本の領海だ。私は2時間に及ぶ臨検をパスし、漁業をするために来ている。
海保には感謝するが、海保が追い出すべきは私たちではなく、中国公船ではないか。私ですら「逃げて」と言われ、ここが日本の領海なのか、尖閣諸島が日本の領土なのか分からなくなってしまった。これは絶対にいけないことだ。
それから7年経ったが、残念なことに当時の状況は改善されず、むしろ、中国公船の行動はエスカレートしているように感じる。今や中国海警局は人民解放軍の傘下に入り、軍事組織化した。中国政府は日本の漁民に「ここは中国の領海だから出ていけ」と言っている。看過できないことだ。
東京都が尖閣諸島の購入を計画していたことがあり、灯台や船着き場をつくると表明した。だが、尖閣諸島が国有化されたとたん、その話が全く途絶えた。
尖閣諸島には、日本人がそこで暮らし、生活を営んでいた、しっかりした歴史がある。国会議員にも、もっと声を出してもらい、わが国固有の領土であることを施政権を発揮し、証明してもらいたい。
この国を守ってきたご先祖さまや英霊の皆さまのように、国を守る気概と覚悟を忘れずに生きていきたい。
国際法に違反して力による領土拡大をしようとしている隣国からの戦火に巻き込まれないように、女性議員こそ、領土・領海・領空を守るため、先頭に立って活動すべきだ。
尖閣諸島近海でとれた魚を全国の食卓に届けるなど、できることを広げていきたい。