石垣市は一般廃棄物最終処分場の延命化に向け、ごみを掘り起こし、民間業者に委託して県外に輸送する計画を見直す方針を固めた。ごみを焼却するクリーンセンターの基幹改良工事が遅れる見通しとなったこともあり、ごみの搬入量が当初の予想を上回り、事業費が高騰した。16日の市議会一般質問で中山義隆市長は「できるだけ財政負担がかからない形で延命化する必要がある」と述べ、処分場の延命化に向け、新たな方策を再検討する考えを示した。
市によると、処分場の埋め立て可能な残余面積は9825立方㍍で、このままだと今年度も含め2年程度で満杯になる。市が設置した一般廃棄物処理施設延命化対策委員会は2019年3月、処分場のごみを掘り起こし、県外に海上輸送する方針を市長に答申していた。
現在、廃プラスチック類を埋め立てていることが処分場を圧迫する一因になっている。このため市は21年度からクリーンセンターの基幹改良工事を行い、廃プラの焼却に対応する施設とする予定だった。しかし補助金を交付する国との調整に時間がかかり、着工が1年ずれ込んだ。
クリーンセンターの現施設でも廃プラ類の焼却は可能と見られていたが、実際には焼却炉にかかる負担が大きく、焼却は難しいことも判明した。
廃プラ焼却の遅れを受け、処分場を10年延命化するのに必要なごみ掘り起こし量は約2倍に増加。事業費は当初の約7億円から18~20億円に膨れ上がった。市は財政負担が大き過ぎるとして、今年度から開始する予定だったごみ掘り起こしと県外への輸送を保留とした。
現在、ごみ減量化に向けた新たな方策として、民間事業者から廃プラを炭化炉で処理する新技術などの提案を受けている。6月にはプラントのデモンストレーションも行われた。一般質問で大城智一朗環境課長は「いろいろなメーカーの技術の洗い出しを行っている」と報告した。
市は今後、簡易的に処分場のかさ上げを行い、4~5年程度の延命化を図る方針。来年度からは新たな最終処分場の候補地選定に入る。
一般質問でこの件を取り上げた我喜屋隆次氏は「ごみを掘り起こして島外で処分するのはかなり厳しい。(対策委員会の)答申は何だったのか。委員会の皆さんにも失礼だ」と批判。大城課長は「大変申し訳なく思う」と陳謝した。中山市長は「あらゆる方策を考え、できるだけ早い段階で計画を作り、実施に向けて動いていきたい」と理解を求めた。