国立天文台の研究を知ってもらおうと、国立天文台水沢VLBI観測所は19日、高校生で組織する「美ら星研究探検隊」(美ら研)を実施した。新型コロナ感染防止のため、初めてオンラインでの開催。県内外の18校から22人、うち石垣市は八重山高校から5人が参加し、オンライン会議を通じてデータ解析を行うなど、天文学者と同じ研究を体験した。
高校生は、国立天文台VERA(ベラ)石垣島観測局にある口径20㍍の電波望遠鏡を用いた新しい電波天体の探査や、石垣島天文台にある口径105㌢㍍の光学望遠鏡「むりかぶし」を用いた太陽系内の新しい小惑星の発見を目指した観測を体験。
このうち電波望遠鏡では、天体の位置や赤外線の波長・光度などが示された赤外線観測のデータベースを活用しながら、新たな天体を探査した。
石垣からは、VERAプロジェクト継続のために活動する「ベラジニア」の代表、八重高1年の富本和心(わこ)さん(15)と2年の青木宙帆(ゆうほ)さん(17)らが参加。
青木さんは「ベラを残したいとの思いで活動しているので、自分たちがベラのことを知っておきたい」、富本さんは「小学生の頃、美ら研で見つけた惑星の名前を付けた。今度は自分が発見することができたら」とそれぞれ意気込んだ。
美ら研ではこのほか、国立天文台の天文学者によるリモート講義や、同局電波望遠鏡でのバーチャル体験ツアーが行われた。
講義では、美ら研OBで八重山高校出身、鹿児島大学理学部物理学科3年の水野心羽(しんば)さん(21)が現在の研究内容などを紹介。「美ら研で石垣島の星天のすばらしさと宇宙の面白さを知った。皆さんもいろんなことに挑戦してみて」とエールを贈った。
20日には観測結果の議論と閉講式が行われる。
美ら研は今年で15回目。2008年には美ら星研究探検隊の成果として新たな小惑星を発見。2015年6月に「あやぱに」と命名された実績がある。