石垣市教育委員会は今月中にも、老朽化が進む石垣小学校校舎の建て替え工事を始める。現在、敷地の東側にある現校舎を西側に移し、現校舎は新校舎の完成まで使用する。校舎本体の建設の総事業費は約20億円。5日、石垣市議会(平良秀之議長)の臨時会が開かれ、工事請負契約3件を全会一致で可決した。
現庁舎は1980年度から81年度にかけて建設され、約40年が経過している。新校舎建設に当たって市教委は、学校の要望や将来の児童数予測を踏まえて教室数を現状通りとし、建物は現校舎の3階建てから4階建てに変更。運動場の面積を最大限確保するよう配慮した。
新校舎の延べ床面積は6553平方㍍(旧校舎6490平方㍍)。普通教室18室、特別教室9室、管理諸室6室。建物は風通しや採光を考慮し、中央に吹き抜けを設置する。
来年10月の工事完成後、冬休み中に旧校舎から新校舎に引っ越し、22年1月の3学期から供用開始するスケジュール。
門は東西に設置されるが、校舎が配置される西門について地域住民から「西側の道路は狭く、子どもたちが車を乗り降りすると事故のリスクが懸念される」という声が上がっている。
このため、市教委は保護者に対し、広い道路に面した東門の利用を促す。東門からは児童が体育館経由で新校舎に移動できるよう、屋根付きの渡り廊下を設置する。
外構工事の際、敷地の西側で建物を極力セットバックし、スペース確保に努める方針。PTAが82年に運動場で建設し、市に寄贈した「ふるさと資料館」は取り壊す。
同校は災害時の避難所に指定されているため、屋上に避難スペースを設ける。現校舎は新校舎完成後の22年度に取り壊し、グラウンド整備の外構工事を行う。
工事請負契約の相手方と金額は、建設工事が砂盛建設㈱・㈱大進建設特定建設工事共同企業体で約15億6700万円、機械工事が㈲大三建設・㈲沖安工業特定建設工事共同企業体で約2億4500万円、電気工事が㈱南西工業・㈱海邦電設特定建設工事共同体で約1億9100万円。
議案を審議した市議会総務財政委員会では、委員から「本来は9月定例会に上程して議員の質疑を受けるべきだった」と批判の声が出た。市教委の小底正弘学務課長は「設計終了後も建築確認や補助金申請があり、時間を費やした」と釈明した。