1944年10月10日に南西諸島に対して行われた米軍の最初の大空襲「10・10空襲」の犠牲者を追悼しようと、世界平和の鐘の会沖縄県支部(大濵達也支部長)は10日正午、新栄公園内の平和の鐘鐘楼で平和祈念鍾打式を行なった。今年は新型コロナ感染拡大防止の観点から規模を縮小。同支部会員ら10人ほどが参列し、犠牲者を悼み、恒久平和を願って鐘を打ち鳴らした。
42年6月のミッドウェー海戦での敗北により後退していた日本軍は、本土防衛の最後の拠点を沖縄とし44年3月、連合軍の上陸に備えて南西諸島に沖縄防衛のための第32軍を創設していた。
米軍は日本本土攻撃の拠点を硫黄島(いおうとう)と沖縄と定め、同年10月、アイスバーグ作戦により沖縄攻略を正式に決定し、同10日に沖縄本島に大規模空襲を仕掛ける(「10・10空襲」)。
翌45年2月16日には硫黄島への艦砲射撃を開始。
当初は数日で島を占領する計画だったが、日本軍守備隊の徹底した陣地持久戦により攻防は1カ月以上も続き、米軍の損害が日本軍の損害を上回った唯一の地上戦闘となった。
米軍は硫黄島を陥落させた45年3月17日以後、太平洋地区の全戦力を沖縄攻略に集中させる―。
この日の鍾打式で、大濵支部長は「フィリピン守備の支援拠点となり得る南西諸島全域が空襲に遭い、病院や学校等の民間施設も爆撃を受けた無差別攻撃で、民間人にも大きな被害が出た」と強調。「平和を根付かせるために日本の最南端、石垣島から平和を願いたい」と呼び掛けた。
中山義隆市長(川満誠一副市長代読)は「コロナで多くの事業者が苦しい状況にあるが、平和を希求する心を忘れず」と述べた。
同鍾打式は2015年から毎年行われ、今年で6回目。