新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したかりゆし病院の境田康二院長は30日、八重山合同庁舎で報道陣の取材に応じ、同病院関係者の感染は終息に向かっているとの認識を示した。
30日現在の同病院関係の感染者55人のうち、かりゆし病院は49人、隣接する介護老人保健施設聖紫花の杜は6人。うち23人は入院勧告を解除され、32人が八重山病院、かりゆし病院、宿泊療養施設で療養中となっている。
同病院関係者の患者、職員には3回のPCR検査を行い、3回目に関しては全員陰性となった。「終息に向けて間違いなく進んでおり、これ以上のことは起きずに終わると思う」と期待した。
10月に始まった感染は「あっという間に広がったという印象。感染力がものすごい」と振り返った。10月9日に初めて患者の高熱を確認したあと、インフルエンザなどの検査をしたが、新型コロナウイルスの検査に至るまで4日間様子を見たことが「反省点」と悔やんだ。
患者が食堂で一堂に会したことが感染拡大の要因との見方を重ねて示した。「マスクを外し、面と向かって話したりする。1時間くらいは食堂にいる。その中で感染が広がったことは間違いない」と述べた。
聖紫花の杜とはスタッフの往来はなく、同施設に感染が広がった理由は不明という。
今後、同病院での食事は各病室で行うが、介助が必要な人が食堂で食事する場合は、各テーブルに一人掛けとする。隣に別の人が座る場合は、アクリル板などの仕切りを置く。
県立各病院から感染症に関して専門的知識を持つ感染管理看護師がかりゆし病院に派遣されており、同病院職員の指導に当たっている。感染防止を徹底するための備品や機器も購入した。病院の診療再開は11月上旬を予定している。
最初の患者の感染源に関しては「島外に行ったか、島外から来た人と接触した人から9月末ごろに持ち込まれた。患者の面会者か職員だと思う」と述べたが、特定は難しいとした。
今後、八重山病院の病床が不足した場合に備え、かりゆし病院でも患者以外の新型コロナウイルス感染者を受け入れる方向で調整していると説明。その上で「(感染防止対策で)何をすればいいか、今回のことで明確になった。職員も感染に関する意識が高まった。次に何か起きれば、今回よりはスムーズな対応ができる」と強調した。