「ヒアリ等に関する同定研修会(石垣)」(主催・県)が4日午後、八重山合同庁舎で開かれ、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の吉村正志博士が県内のヒアリ対策について講演した。関係機関の職員ら12人が参加した。
ヒアリは南米大陸原産の特定外来生物で、日本では2017年、神戸港で、中国広東省から到着した貨物船内のコンテナで発見された。
沖縄ではまだ発見されていないが、近年は沖縄本島でアルゼンチンアリやハヤトゲフシアリなどの特定外来生物が確認され、県は侵入への危機感を募らせている。
吉村氏は「(発見された場合に備え)普段から情報をどう集約し、処理し、誰がどう動くかなど決めておくことが重要」と述べ、機関横断的な協力体制の重要性を説いた。
また「コロナに埋もれているが、ヒアリの発見が全国的に全く収まっておらず、状況は厳しさを増している」と指摘。「都市部や市街地で高密度に生息し、咬まれると1%以下ではあるがアナフィラキシーショックなど、重症化する可能性がある。一回蔓延(まんえん)すると根絶が難しく、ヒアリが定着してしまうと被害が大きくなる」と危惧した。
ヒアリの特性としては塚が大きく発達し、同じ巣に違う大きさのアリがいることが確認されている。見た目はコブの節が2つ、胸部にトゲはなし、触覚2節が膨らんでいる特徴がある。この日はスライドの画像を見ながら個体を見極める研修も行われた。
県内では2016年から「外来種対策事業(ヒアリ等対策)」を実施しており、県は今年2月、発見された場合の対応策として「ヒアリ対策総合マニュアル」を策定している。