ヤエヤマノコギリハゼ繁殖 絶滅危惧種、福島で初の成功

ヤエヤマノコギリハゼの幼魚(アクアマリンふくしま提供)

 福島県の水族館、アクアマリンふくしま(いわき市)は9日、主に八重山に生息する絶滅危惧種ヤエヤマノコギリハゼの繁殖に国内で初めて成功した、と発表した。人工繁殖の成功で、これまで知られていなかった産卵の習性や幼魚に関する情報を収集できる可能性が高まる。熱帯チームリーダーの吉村光太郎さん(42)は「この知見が八重山の自然を守るための助けとなることを強く望む」としている。

 ヤエヤマノコギリハゼは、水中で腹を上にしたり、逆立ちで浮くなど、多彩でユニークな姿勢を取る淡水魚。近年は八重山でも、河川改修や道路建設などの影響で減少しているとされる。
 吉村さんは約20年前に石垣島に住んでおり、その際にヤエヤマノコギリハゼを知った。福島県の水族館で働くようになり「石垣に何か恩返しを」と、ヤエヤマノコギリハゼの研究を決意。2015年に石垣島のウミンチュの協力を得て、島の河川から2組のペアを採取し、5年がかりで人工繁殖の取り組みを続けてきた。
 今年7月、飼育していたヤエヤマノコギリハゼが650個の卵を産み、すべて孵化した。
 吉村さんは「産卵前にいつもと違う行動が見られた時は、大変興奮した。そこから今に至るまでの成長の記録は誰も知らないことなので、新しい発見の連続だった」と振り返った。
 今後に向け「ヤエヤマノコギリハゼの子どもを展示することによって、多くの人が失われていく自然について考え、生物の多様性、自然を守る大切さについて学んでほしい」と期待した。
 人工繁殖の成功は、10月31日~11月1日に開かれた日本魚類学会で発表された。
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 ヤエヤマノコギリハゼ 国内では石垣島、西表島、国外ではインド、太平洋の島々に恒常的に分布。生息には植物が生い茂る水辺という限定的な環境が必要とされる。環境省版レッドデータブックではイリオモテヤマネコ、ジュゴン、カンムリワシなどとともに、絶滅危惧種ⅠAに分類されている。

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