新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を受け、政府は7日、東京など1都3県に緊急事態宣言を発令した。新規感染者数は全国で連日、過去最多を更新しているが、沖縄でも6日に11月28日以来となる70人台に達し、7日も60人台と高止まりしている。離島の石垣市でも感染者の増加に歯止めが掛からず「第3波」が国内の津々浦々に及んでいる現状が浮き彫りになった。
第1波では国内外の観光客がウイルスを持ち込む「移入例」、第2波では、繁華街を中心に感染が広がる「夜の街」が感染経路のキーワードになったが、第3波は大人数が長時間飲食する「会食」が問題視されている。
沖縄県は那覇、浦添、沖縄、名護、宜野湾の5市を対象に、飲食店などへの時短要請を行った。宮古島市、石垣市も時短要請の対象地域に加えるよう要望がある。今月11日までとなっている時短期間の延長とあわせ、8日の新型コロナ対策本部会議で決定する見通しだ。
だが、こうした決定をなぜ8日まで持ち越すのかは疑問がある。本島だけでなく離島も含め、昨年12月中旬以降に感染が急拡大している状況を分析すれば、もっと早い決断が行われてもよかった。
時短要請に応じた店舗には協力金が支給されるため、予算措置などにそれなりの時間がかかる。政府が首都圏に発令した緊急事態宣言の中身を見極めたいという思いもあるだろう。
だが感染拡大の現状や飲食店への経済支援の必要性を考えれば、時短要請の延長にせよ対象地域の追加にせよ、政治主導で大まかな方針は即断即決し、細かい部分は追って発表すればよい。第1波、第2波の時にも対応のスピード感が欠如している印象を受けたが、県は第3波に対しても状況の変化に苦慮しているようだ。
政府の観光支援事業「GOTОトラベル」は12月28日で停止されたが、感染者の急増傾向は止まらない。
「GOTО」停止は沖縄にとって大きな経済的ダメージだったが、感染者がここまで増加すれば、いずれにせよ国民の旅行需要は低下は免れない。仮に「GOTО」が継続していても、効果は半減していただろう。まず第3波を終息させなければ、経済回復は見通せない。
だが、それは感染防止を最優先し、経済は二の次、三の次でいいということを意味しない。
政府は新型コロナウイルス特別措置法(特措法)改正で、時短要請に応じない飲食店に罰則を科する方針だが、行き過ぎた権利制限にならないよう留意すべきだ。
沖縄は観光が基幹産業であり、観光が失速すれば農水産業やサービス業など、他産業もドミノ倒しとなる経済構造である。特措法改正で人の移動や営業を徹底的に取り締まり、沖縄の感染がゼロになったとしても、気がつけば県民生活が壊滅しているということになりかねない。感染対策と経済対策は、あくまで車の両輪のように機能しなくてはならない。