㈲石垣コミュニティーエフエム(東太田政三代表取締役)が難聴エリア解消のため、石垣市川平で進めている高さ24㍍の中継局鉄塔建設を巡り、初の住民説明会が16日、川平公民館で開かれた。住民約20人が参加し、鉄塔を住民生活や景観に影響のない場所へ移設するよう求める声が相次いだ。東太田代表取締役は「国の補助金をいただいた事業なので、期間が決まっているという苦しさがある。どうかご理解をいただきたい」と述べ、建設を続行する考えを示した。
鉄塔建設予定地の近隣住民からは「鉄塔は長時間の台風や最大瞬間風速に耐えられるのか。鉄塔が雷を受け、電気の逆流現象が発生した事例がある」と生活への影響を危惧する声が出た。
工事を請け負っているNHKテクノロジーズの担当者は「鉄塔は風速70㍍に耐える。鉄塔に雷が落ちた時でも、電気が逆流することはない」と説明した。
川平公民館前館長の高嶺善伸氏は「(住民の反対運動は)説明会を開催しなかったのが一番の原因だ」と糾弾。市が景観法に基づく届け出を受理したり、市有地を賃貸した判断について「法律や条例の趣旨から慎重な配慮が必要で、市民の意見も聞くべきだった。あまりにも拙速だ」と憤った。
出席した市の担当者は「(風景計画では)工作物の高さの基準は機能を果たす最低限。それに基づいて適合と判断した」(宮良直好都市建設課長)、「事業が合理的か、法令に違反しないかチェックした上で市有地を貸し付けている」(野崎雅治契約管財課長)と答えた。
東太田代表取締役は、工事を延期した場合、国の補助金が下りなくなる恐れを訴えた。住民の反対運動に対しても「親身に取り組もうとしている矢先に、こういったやり方があっていいのか。ショックだった」と間接的に批判した。
川平住民に対しては「精神的な苦労を掛けたことをお詫びしたい」と陳謝。住民説明会が鉄塔の着工後になったことは、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に挙げた。
住民からは「納得できない」「次回の説明会を開いてほしい」という声が上がった。
説明会後、東太田代表取締役は「住民の要望に応えられるものは応えたい」と述べたが、工事を延期した場合の補償が不明確だとして「工事は止められない」と改めて強調した。
移設を求める住民の野底紀子さんは、今後とも移設を求める考えを示し「もう少し質問の時間を取ってほしかった」と不満をあらわにした。