西表きょう世界遺産登録 ユネスコ「生物多様性」審査

激しく打ち付けるピナイサーラの滝=西表島上原(提供写真)

 オンラインで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は26日に自然遺産候補「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)が審査を受け、登録が決まる見通しだ。

 西表島は島全体が一つの自然環境になっており、亜熱帯の森や大小の河川、滝、低湿地帯や、そこに生息する国の天然記念物イリオモテヤマネコなど「生物多様性」の豊かさが認められている。
 奄美・沖縄は、アマミノクロウサギやヤンバルクイナなどの固有種が多く生息する生物多様性が特徴だ。
 環境省や竹富町は登録を見据えたさまざまな準備を進めており、地域住民の間でも意識の高まりが見られる。
 西表島の上原港で勤務する女性は「観光客が増えて経済が発展することに期待している。地域でもビーチにごみ箱を設置するなど、片づけやすい環境づくりを作っている」と話す。
 女性によると、管理の問題で島にはごみ箱の数が少ない。観光客や地域の子どもたちからは「ごみを捨てる場所がない」という声があがっていたという。
 一方、由布島で観光業に携わる男性は「ヤマネコを守りたいと言いつつ、観光客を増やすのは矛盾を感じる。交通事故が増えるのは当然ではないのか。回りのおじぃやおばぁのように、自分ものんびり生活がしたくてここにいる。なぜそこまでお客さんを呼びたいのか」と漏らした。
 ある地域の公民館長は「最初は国の方針だけで登録されることに反対だった。だが、4年余りのプロセスを経て島の今後を考えると、ルールを守るいいきっかけづくりになればと思う。西表は移住者や、私のように観光業で生活する人も多い」と話した。
 同じく観光業に携わる男性(20代)は「既に島はオーバーツーリズム。ごみ処理問題や水と駐車場、トイレの不足、レンタカーによる交通事故の多発など、観光客増加による課題は山積み。豊かな自然があってこその観光業なのに、自然保護よりも観光促進の方に比重を置きすぎている気がする」と注文を付けた。
 審査では、ユネスコ諮問機関の勧告を基に21カ国の委員国が議論する。諮問機関は日本の2候補を登録すべきだと勧告している。
 27日には文化遺産候補「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田)が審査される。

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