町長「世界に価値伝える」 自然保護や観光管理に決意

西表島の世界自然遺産登録を祝う西大舛町長(左)と新田長男議長=26日、竹富町役場仮設庁舎ホール

 国際教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会が「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録を決定した26日、竹富町役場仮設庁舎では午後6時半から、西大舛髙旬町長らが最終審議の様子をインターネットで視聴した。
 登録決定後は環境省職員や沖縄県出身の著名人らによる祝福のメッセージ、各地域の知事や町長による喜びのコメントがインターネットで配信された。
 西大舛町長は「沖縄、日本を超えて世界に西表島の価値を伝えたい。登録を新たなスタートとして、自然保護や観光管理などの課題に取り組み、島の自然をしっかり後世に継承する」と喜びと決意を語った。
 登録への反対意見にも理解を示すとともに「決定したからには、長い時間をかけて理解を求めていく。観光客の急激な増加は最重要課題。入域数は年間15万人を目安とするなど、厳しい入島制限も行いたい」とした。
 環境省沖縄奄美自然環境事務所西表自然保護官事務所の竹中康進自然保護官は「決定の瞬間を、これまで議論を重ねてきた町職員らと見守れてよかった。明日の朝から早速会議が入っている。登録を機に、さらに気を引き締めて活動する」と述べた。
 町世界遺産推進室の通事太一郎室長は「ほっとした気持ちだが、最初の勧告内容も含め、我々は宿題をもらっている状態。これを節目としてしっかり観光管理を進めたい」と話した。
 西表島には国の天然記念物で絶滅危惧IA類のイリオモテヤマネコをはじめとした、多くの希少な動植物が生息する。大小さまざまな河川や滝、マングローブ林、亜熱帯の森と低湿地帯地域が広がり、島全体が一つの自然環境になっていることが特徴だ。
 登録後は知名度の向上などによる観光客増加に伴い、経済発展や雇用の創出も期待される。一方で、環境公害や住民への負荷、希少動物のロードキル対策などの課題が山積みであることも事実だ。
 今年5月にユネスコの諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)が出した評価結果の中でも、観光管理が重要課題として挙げられた。
 環境省、県、竹富町は観光客の急激な増加を避け利用の分散を促す「来訪者管理基本計画」、観光利用のルールや立ち入り制限のルールを設ける「エコツアー全体構想」、ガイド免許取得を求める「竹富町観光案内人条例」に取り組む。
 住民以外の入島者から入域料金を徴収し、1日の入域人数も1230人と制限する予定。観光客にも「責任ある観光」(レスポンシブル・ツーリズム)の意識を持つよう推進するという。

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