【視点】世界遺産、ゴールでなくスタート

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は26日、日本の「奄美大島、徳之島、沖縄島(おきなわじま)北部および西表島」の自然遺産登録を決めた。
 沖縄県民としては、西表島、沖縄本島北部の世界的価値が認められたことは誇りだ。だがそれ以上に、豊かな自然環境や生態系を後世に引き継いでいく責任を自覚しなくてはならない。
 奄美・沖縄は、鹿児島県の奄美大島と徳之島、沖縄県の沖縄本島と西表島の4島にまたがる計約4万3千㌶の地域。イリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナなど絶滅危惧種95種を含む動植物の生息・生育地で、世界的にも貴重な生物多様性が存在する。
 だが、世界遺産登録への道のりは平坦ではなかった。
 政府は2013年、4島を世界遺産暫定一覧表に追記することを決定し、ユネスコ世界遺産センターへ追記申請書を提出。西表島で国立公園を大規模拡張し、本島北部では国立公園を新規指定するなどの準備を進め、17年10月、ユネスコ世界遺産センターへ推薦書を提出した。
 しかしユネスコの諮問機関ICUNは18年5月、登録の延期を勧告し、推薦書はいったん取り下げられた。政府は改めて18年11月、本島の米軍北部訓練場返還地を国立公園に編入するなどの取り組みを進め、19年2月、再びユネスコ世界遺産センターへ推薦書を提出した。

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