台風6号で幹が裂ける被害があった石垣市史跡の「仲道の三番アコウ」を27日、樹木医が診断し、幹の一部を残して撤去することをアドバイスした。幹の裂けた部分は台風襲来前から既に内部が枯死し、腐朽している状態で、再生は不可能という。地域住民に古くから親しまれてきた名木だが、今後、姿を大きく変えることになりそうだ。
アコウは台風が接近した23日午前、幹の一部が大きく裂け、道路に倒れているのが見つかった。市は復旧に向け、樹木医で株式会社トロピカル・グリーン設計常務取締役の樋口純一郎氏を招き、調査を依頼した。
樋口氏によると、避けた幹の外側は若い樹皮で覆われていたものの、内側の古い部分は腐朽が進んでいた。空洞化も見られ、台風の風圧に耐えられず裂けたと見られる。
幹が裂けた部分に関して樋口氏は「今後の危険性を考えると撤去したほうがいい」と結論づけた。
裂けた部分とは別の方向に生えている幹は残せる状態だが、傾いているため、支柱を取り付ける必要があるという。
市教育委員会の担当者は「市の文化財なので、できる限りは残したい」と話し、樹木医のアドバイスに従って保存を検討する考えを示した。
「仲道」は登野城の小字名で、三番アコウの場所は登野城から平得、真栄里への分岐点にある。古くから道しるべとして地域住民に親しまれてきた。かつては西側に一番アコウ、二番アコウが生えていたが、現在は三番アコウのみ残っている。