【視点】コロナ対策の不信払拭を

 沖縄は新型コロナウイルス「第5波」に突入し、新規感染者数は27、28日と連続して過去最多水準の300人超となった。
 感染者急増の大きな要因と見られるのは、従来株に比べ約2倍の感染力があるとされる「デルタ株」の流行だ。インドで悲惨な感染爆発と医療崩壊を引き起こした変異株である。
 玉城デニー知事は「流行の主体がデルタ株に置き換わっている」と述べ、沖縄でもデルタ株が主流になったとの見方を示した。
 全国でも28日の新規感染者数が過去最多になるなど、東京を中心に感染状況の悪化が顕著だ。大都市圏の感染拡大が沖縄に飛び火する「第1波」以来のパターンが今回も繰り返されている。
 玉城知事は今月上旬、専門家会議の意見も踏まえた上で、政府に緊急事態宣言の解除と「まん延防止等重点措置」対象地域への移行を政府に要請した。
 ところが政府は県の要請に反し、県に事前の相談もなく緊急事態宣言の延長を決めた。県内では反発の声も上がったが、現状を見ると県の見通しが甘かったのは明らかだ。
 県のコロナ対策は専門家会議の提言に全面的に依拠しているようだが、専門家といえども常に的確な予測をするとは限らない。県は政策形成のあり方を再検討すべきではないか。
 県のもう一つの誤算は、ワクチン接種が思ったほど進んでいないことだろう。人口に対する接種率は26日現在、全年代で1回目25・71%(全国31・8%)、2回目15・85%(同21・08%)と、全国平均を下回っている。人口が集中する市部で接種率が全国平均より高いのは石垣市と宮古島市しかない。

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