【視点】コロナ対策の不信払拭を

 厚生労働省によると、ワクチン接種には新型コロナの発症や、重症化を予防する効果がある。「デルタ株」拡大より早いスピードでワクチン接種を進める必要が叫ばれているが、沖縄は明らかに出遅れた。なぜ接種が進まないのか、県は原因と対策を分析してほしい。
 玉城知事自身も27日、ようやく1回目の接種を那覇市の広域接種センターで受けた。知事が先行接種を受けるべきかどうかの議論はあろうが、これまで接種せずに東京出張や数々のイベント出席をこなしていたのも驚きだ。
 接種率向上のため、県が設置した3番目の広域接種センターにも疑問が投げ掛けられている。
 浦添市の松本哲治市長や石垣市の中山義隆市長らは今月19日、県庁を訪れ、県が那覇市のファイザー製ワクチンを譲り受けて接種する方針であることに対し「融通可能なファイザー製ワクチンがあるなら現在必要としている自治体に再配分すべき」と求めた。広域接種センターが那覇市に偏在しているとも指摘した。
 松本市長らが謝花喜一郎副知事に渡した要望書には、玉城知事を支える「オール沖縄」の市長も含め8市長が名を連ねており、保守系市長の政治的パフォーマンスではない。県のコロナ対策が自治体の不信を招いている現状を露呈している。
 流行の原因とされる人流の抑制にせよ、接種の推進にせよ、政治主導の思い切った方策がなければ打開は難しい。全国的に暗中模索の状態ではあるが、コロナ対策への不信を払拭するため、県は県民の胸に届くメッセージを発する必要がある。

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