【視点】辺野古 噛み合わぬ与野党の主張

 衆院選では外交や安全保障のあり方も与野党の大きな対立軸になっている。特に沖縄では、米軍普天間飛行場の辺野古移設に焦点が当たる。移設を容認する自民党候補に対し、移設反対を政策の柱に据える「オール沖縄」勢力の候補が対峙する構図が、4選挙区に共通している。
 立憲民主、共産、社民、れいわは共通政策として辺野古移設中止を掲げている。党首討論会で自民党の岸田文雄総裁(首相)は「危険性が指摘される普天間飛行場を現状のままにしておいていいのか」と問い、立憲民主党の枝野幸男代表は「米海兵隊のプレゼンスは必要」とした上で「移設は何のために必要か、お互いの認識を共有し、どういうあり方がいいか協議したい」と米側と再協議する方針を示した。
 沖縄では、辺野古移設の目的が新基地建設であるという誤解がある。新基地建設というと一般県民は戦争準備や軍事力強化をイメージするため、移設の本来の目的が普天間飛行場の撤去であり、県民の基地負担軽減であるという事実が見過ごされてしまう。
 その弊害は、移設賛成と言うと戦争準備や米軍基地の過重負担を容認している候補のように映り、そこで議論が止まってしまうことだ。与野党の主張も一向に噛み合わなくなる。
 辺野古移設問題は長く県政最大の課題とされてきた。にもかかわらず現実には、沖縄で建設的な議論ができる環境が整っていないように見える。

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