【視点】辺野古 噛み合わぬ与野党の主張

 1区に立候補した下地幹郎氏(無所属)が「辺野古に賛成か反対かの議論にはくみせず、沖縄の基地負担軽減の形を提案する」と述べたのは印象的だ。沖縄のこうした特殊事情を知らないと、何を言いたいのか、なかなか理解し難いだろう。
 野党や基地反対派からは、選挙戦で自民党候補が辺野古移設の是非に言及しないことに「対立軸をあいまいにしている」などと批判する声が出ている。だが選挙戦で、辺野古にあえて触れないのは自民党候補だけではない。
 過去の選挙も含め、八重山を訪れた「オール沖縄」勢力の候補が辺野古移設問題を積極的に持ち出すことはほぼなく、演説で一言も触れないことも珍しくなかった。八重山には米軍基地がなく、辺野古移設に対する関心が低いためだ。「オール沖縄」勢力が辺野古を最大争点というなら、これも裏表ある姿勢ということになってしまう。
 宜野湾市や名護市を抱える2区や3区の候補が辺野古に触れないことの賛否はある。だが候補者が有権者を前に何を語り、何を語らないかは戦術に属する事項であり、それは自民党も「オール沖縄」も変わらない。片方だけを「逃げている」と非難するのはダブルスタンダード(二重基準)というものだろう。
 今選挙では、過去の選挙ほど辺野古が最大争点という雰囲気は感じない。有権者にとって新型コロナウイルス対策が最大の関心事に浮上したこと、移設工事が現に進んでいること、前述した理由で議論が事実上の膠着(こうちゃく)状態にあることが理由だと思われる。
 選挙で辺野古の賛否がワンイシュー(唯一の争点)とされるのは、沖縄の未来にとって望ましいものではない。外交や安全保障に関し議論する際には、尖閣諸島問題なども含めて幅広い視点が必要だ。

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