八重山署管内の交通死亡事故ゼロが昨年12月、本部署が持っていた県内最長記録の1494日を更新した。記録はその後、1500日を超え、現在も伸び続けている。人口約5万人の地域で、実に4年超に及ぶ記録だ。八重山住民が全国に胸を張れる記録だし、今後も住民一人ひとりが強い意識を持って日数を積み重ねてほしい。
国境の島である石垣島でも、年々交通の混雑が深刻化している。「一人一台」とも言うべきマイカー時代の到来に加え、昨年の観光客数は過去最高の140万人台に達したと見られ、レンタカーなど、観光関連の車両が増加しているからだ。
現在では市街地から離れた農村地帯でも、かなり頻繁に車の往来が見られる。島全体の交通量そのものは、もはや都会と遜色(そんしょく)ない。にもかかわらず重大事故の抑止が図られているのは、官民挙げた取り組みが奏功しているからだろう。
かつては同署管内でも死亡事故は珍しくなかった。1998年の元日には、高校生の乗った車が暴走し、4人が死亡する悲惨なケースもあった。
沖縄では長く飲酒運転が大きな問題になっているが、石垣市で2015年に起きた小学校教諭による死亡事故も飲酒絡みで、社会に大きな衝撃を与えたことは記憶に新しい。
昨年は、石垣市区選出だった辻野ヒロ子県議(当時)が提案した県飲酒運転根絶条例の制定から10年の節目でもあり、同条例の意義が再認識されている。「飲んだら乗らない」という意識がようやく浸透しつつあるようだ。