陶器製手榴弾の何が危険性なのか。それは、はっきり分かっていないことに尽きる。那覇市立壺屋焼物博物館に展示されている陶器製手榴弾と地雷と、沖縄県平和祈念資料館に展示されている陶器製の手榴弾と地雷(現在の那覇空港近くで出土したという)を見ると、形が違う。
また、前回の掲載後にご興味を持たれ、グーグルで「陶器製手榴弾」と入力し、画像検索なさった方もおられよう。そうした方は、さまざまな形状の手榴弾が表示されるので困惑なさっているのではなかろうか。
これらは、必ずしもフェイク・ニュースではない。そもそも、こうした陶器製手榴弾は擬製手榴弾と呼ばれる武器で、日本の陸海軍が制式採用したものではない。言い換えるなら、仕様書を元に設計・製造したものではなく「各地の窯元に、さまざまな部隊が注文した」(防衛研究所史料室)結果、形状がばらばらなのだ。「丸形だけでなく、火炎瓶のような形状のもあった」ことまではわかっているが、全部で何種類あるかは不明だ。また、海軍が敗戦後に米軍に引き渡した目録の中に「陶器製手榴弾」との該当項目がある一方、陸軍が所持使用したかを示す記録は見つかっていないという。
詳細は、今後の更なる研究結果を待たねばならないだろう。一方、専門家ではなく、この方面での知識に乏しい人がすべきことは、ただ1つ。「旅の思い出に」あるいは「インターネットで検索して手榴弾の形状は把握しているから」などと思って水中もしくは浜辺の物を拾わないことに尽きる。前回の防衛研究所史料室の警告を、再度繰り返したい。「半径3㍍の人間を殺傷させる」威力があるのだ。
80年近い歳月を経て、中の炸薬がどうなっているかは分からないものの、死なないまでも手が吹き飛ぶ危険性がある。仮に劣化しないまま、空港での検査をすり抜け、なおかつ飛行中に爆発したらどうなるかをご想像いただきたい。那覇市立壺屋焼物博物館によると、「貝殻か何かと思い込んで拾った人もいる」という。危険きわまりない行為だし、下手をすれば百人単位で人が死ぬかもしれないのだから、絶対にやめて頂きたいと、本コラムは強く訴えるものである。