27日に執り行われた安倍晋三元首相の国葬には、八重山から与那国町の糸数健一町長が参列した。糸数氏は安倍氏と3回ほど面会し、台湾有事の際の住民保護などに関して要請したといい「与那国のことをすごく気にかけていた。『頼れるのは安倍さんだけ』と思っていたので、とても残念だ」と安倍氏をしのんだ。
石垣市、竹富町、与那国町は、国葬に合わせて庁舎に半旗を掲げ、哀悼の意を表した。政府から国葬の招待状が届いたのは糸数氏のみ。明確な理由は不明というが、糸数氏が日本最西端の島の安全保障に関し、安倍氏に要請を重ねた経緯が考慮された可能性がありそうだ。
糸数氏によると、国葬が始まる前から各国の参列者たちが集まり始め、時間を惜しむように立ったまま各国同士で「弔問外交」を展開している様子が見えた。「『地球儀を俯瞰する外交』を掲げた安倍さんのレガシー(遺産)だ」と感じたという。今、世界には安倍氏に比肩するリーダーはいないと指摘。国内で激化した国葬反対の動きについて「世界が安倍さんの業績を認めているのに、同じ日本国民が評価していないことは恥ずかしい」と話した。
「与那国では、どんなに仲が悪い人でも、亡くなったなら葬儀には出るという常識がある」と指摘し、玉城デニー知事の国葬欠席を批判した。
安倍氏と最後に面会した際、安倍氏からは、要請書を高市早苗経済安全保障相にも郵送するようにとアドバイスを受けたという。糸数氏は26日に都内で高市氏と会い、与那国空港の滑走路延長や島の港湾整備などを要請した。