石垣市議会の建設土木委員会(石川勇作委員長)は7日、市が川平地区で観光業者のテナントとして整備した川平コミュニティ施設を視察。入居が想定されている周辺の業者から意見を聴取した。業者からは「(入居条件に関する)事前の話し合いがない」などと市の対応を批判する声が上がった。市は9月議会に施設の設置管理条例案を上程しており、建設土木委で審議中。条例が可決されない場合、市は完成した公共施設を供用開始できない異例の事態に陥る。
市都市建設課の説明によると、施設は9月30日に完成し、今後外構工事に入る。最大12区画利用可能で、主にグラスボート、物販業者の入居を想定。調理器具は使用できず、飲食業者は入居できない。
建設土木委は入居が想定されている複数の業者を訪問して聞き取り調査した。業者の1人は施設の使用料、入居スペースの割り当てを課題に挙げ「事前に話し合おうとしたが拒否された」と市の対応を疑問視。「条例を通したら、市が一方的に条件を決めてくるのではないか」と不信感をあらわにした。
一方、市都市建設課は、2015年6月~7月、施設の基本設計の際に2回に渡って業者への説明会と意見交換会を行い、合意形成に努めたと報告した。
市議からは「市は高飛車にならず、業者に『協力してください』と頼むのが本来の姿だ」(仲間均氏)、「事業スケジュールを優先するあまり、決め方が拙速ではないか」(砥板芳行氏)、「合意形成に関するミスマッチが課題だ」(宮良操氏)という指摘が出た。
石川委員長は「施設に入る、入らないは業者の自由。市が持ち帰って条件整備できるかだ。施設の目的が川平風致公園の円滑な整備であり、必ずしも業者のためだけでないことは理解してほしい」と話した。
市は川平風致公園内の私有地を買収し、ガイダンス広場を整備する方針。立ち退きを要求される4業者は公園内での営業を継続するため、施設への優先入居を求めている。